『グランドダイバー』dive to GND あるとき、大学の研究所の保管庫や美術館から歴史遺物が大量に盗まれる。それらは俗に『オーパーツ』と呼ばれるものだった。しかし、犯人は捕まっていない。→何の痕跡も残さず目的の歴史遺物だけを盗む手口。目撃者は無く、捜査は絶望的な状況だった。 スキューバのインストラクターを志す主人公(女、20代前半)は、郷土資料館の閉館時間の掃除のバイトをしている最中に偶然犯行を目撃してしまう。犯人は、まるで水面から顔を出すかのように地面から浮き上がってきた。犯人と鉢合わせる主人公。その犯人は、主人公の中学高校のクラスメートだった。犯人(仮にA)と話し合った主人公は、結局Aについていくことになる。Aから渡された鉱石のかけらを飲み込んで主人公は、資料館の床に頭から飛び込んだ。体は床をすり抜け、そのまま別の世界に出た。A曰くそこは別次元の空間で、本次元(さっきまでいたところ)と何箇所かで繋がっているという。 Aの仲間と合流する主人公。彼らは、本次元とこの空間とを隔絶するために本来この次元にある筈の物をこちらに戻しているのだという。誰にも言わないことを誓って本次元に戻してもらった主人公。鉱石(別次元の物質。これを飲み込んで体と同化することでどこでも潜れるようになる。)の小さな塊を持たされていた。 そのまま主人公も彼らの活動に合流。そんなあるとき、仲間の一人が軍事基地に侵入して暴れた末射殺されるという事件が起こる。メンバーのあいだに動揺が広がる。次第に自分の精神状態を疑い始める仲間たち。射殺されたメンバーは、一番高頻度に別次元に出入りして、事件の直前は別次元に寝泊りしていたことが発覚すると、原因は別次元にあるのではないかという話に。 最老の男性とAと主人公以外のメンバー(5人)で別次元に滞在して原因を突き止める調査を敢行。しかし、残りの三人の元には一人しか帰ってこなかった。その一人も三人の目の前で首を切って笑いながら自殺。最老の男(仮にB)を問い詰めるA(Bは別次元について一番詳しく、一番経験が豊かだと自公してる)。Bは語りだす。『あれは物理学の領域ではなく、哲学や宗教学の領域だ。別の次元なんてのは、嘘っぱちだ。あれは・・・・・天国そのものだ。本来生身の人が手を出していい場所じゃない。私は昔からあれに関ってきた。彼らにあの場所を教えたのは自分で、全ての遺物の返還が終了した時点で彼らは殺すつもりだった。あの場所が生身の人間に及ぼす影響はまだよくわかっていないと、忠告はしたつもりだったが彼らはあの場所に入り浸った。不思議な場所だ。いるとそれだけで気が休まる。だがそれが生きた人間には毒だった。あんな場所を放って置いてはいけない。今すぐにでも世界中の遺物を集めて返還しなければいけない。この事実を知っているのは私と君たちだけだ。協力してくれるね。』 最初は反感を示した二人だったが、結局受けることに。 『全部終わったら俺たちも殺すのか』 『そういう心配は生き残っ手からでもいいのではないか。私が先に死ぬかも知れんぞ』 「残りの場所は分かるの?」 『向こうとこっちは基本的に繋がっとらん。誰かが持ち出さなければ行きかうことは無い。そして、向こうのものはこちらでは経年劣化をしない、つまり時間の影響を受けない特徴がある。』 「それだけじゃだめだろ。情報が足りない」 『いや、それだけじゃない。もうひとつ分かっとることがある。今まで何人の人間が向こうから物を持ち出したか、そしてそれが誰かじゃ。』 「!!」 マヤの神官、インドの神官、日本のシャーマン、中世の学者、ソ連の物理学者、アメリカの石油会社社長などなど多岐にわたっているが、たいがいのものは人間が管理しているので問題ない。むしろ問題なのは人間が発見していなくて、土に埋まって居るようなもの。これは向こうの状態を見て場所のあたりをつけて掘っていくしかない。かつての遭遇者の例に漏れず、老人も社会的成功を収めていて、金には困らない。 そうして、二人の孤独な旅は始まった。 全ての遺物を回収し終わったとき、老人は二人を自分の屋敷に来いと連絡してきた。罠だとか殺されるだとか言うAを説得して屋敷に向かう主人公。そこで彼らを迎えたのは老人ではなく老人の部下だった。部下に案内された部屋には一台のテレビがあって、そこには老人が映っていた。どうやらビデオらしく、さらに老人は向こう側に居るらしかった。あの場所と自分が出会った経緯、鉱石が無くとも向こうにいける【穴】がこの世界には何箇所か存在すること、君たちにその場所を守って欲しいこと、そのために私の金と部下と部下からなる組織を使ってよいことを説明した老人は、自分の死期が近いことを告げると、 「この場所に長く居続けた人間がどうなるか、よく覚えておけ」 といった。 そのとき、老人の周りに黒い人の形をした影が急に集まってきた。黒い影は老人に向かって手を伸ばし、引っかき取るようなしぐさを続ける。しかし、影は老人の体に触れることは出来ない。通り抜けてしまう。老人の表情が怯えた物に変わっていき、叫びだす。黒い影は次第に老人の体に触れられるようになっていき、老人の服を、皮を、肉を剥ぎ取っていく。剥ぎ取った部分は黒い影のようなものがのぞかせている。骨だけになって、骨も剥ぎ取られ砕けてどこかに消えていってしまう。残った一人分の影もすぐに消えてしまう。しばらくして、カメラの周りにも似たような影が集まってきたところで、映像は途切れた。 その後老人の部下が部屋に入ってきて、老人からのメッセージだという手紙を渡す。 『この手紙が君たちの手に渡ったということは、私はOO君(老人の旧友、少年時代、向こうへの入り口を一緒に発見した)のところへいけたということだろうな。A君、君には謝る必要がある。最初に、皆を殺すつもりといったのは、あれは嘘だ。そうでも言わないと君は動かないだろうと踏んだのだ。今思えば必要なかった気がする。君には(主人公)という人がいたんだからな。(主人公)君、君は本当によく働いてくれた。辛いときもあっただろうが、よく頑張った。君だけでも、Aだけでもこれは成功していなかったと思う。本当にありがとう。 当初の予定では、財団と組織を君たちと彼らに共同管理させるはずだったんだが、あんな事態が起こったのだ、仕方ない。ただ、私は今の結果にも満足している。真実を知るものは少ないほうがいい。長くなったが、以後君たちは自由だ。秘密を共有しているなんて意識に悩まされる必要も無いし、今まで通りの生活に戻ってもらってかまわない。組織は普段君たちの監督を必要としないが、何か起こったときは君たちに相談するようになっている。こればっかりは“知るものの義務”としてうけっとってくれ。最後に一言、ありがとう、といっていくよ。』 『け、最後だけ善人面しようってかっ。俺はもう帰る』 主人公〔彼がああ言うのは当然です。今まで、殺されると思って、恨み続けて来たのだから。でも、彼は老人のことをもう許しているはずです。彼はそういう人だと、今回の旅で分かった気がします。といっても、老人が本当にあんな善人だったかは私にも分からないことです。ビデオに映る老人の私たちに対する態度は、最後まで変わらなかったのだから〕 Aを追いかける主人公のパンでふFin